人格と時代病と思想と表現が完璧に合致していた。(評価: )
ジョン・レノンについては色々と無限に語りたいことはあるが、私がジョンに似ていると思ったものをここにあげたい。
人間の考え方などは古代から似たような思想が何度も輪廻転生してきただけで、そう幾つも存在しない。ユダヤ人の創った偉大な一神教の系譜、ギリシャ哲学、インド思想、儒教、老荘思想ぐらいであろう。近代思想も19世紀ロシア文学もフランス現代思想も全部これらの一変奏曲にすぎない。全く新しい思想などはない。千年以上前に出尽くしています。で、この中でビートルズージョン・レノンに一番近いものは荘子思想だと思う。そもそもビートニクは荘子思想であり、ディランやレノンはビートニクの子供といってよい。福永光司訳の「荘子」を読むと驚くほど「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」などと同じ発想だ。もう、ソックリです。吉川幸次郎によれば荘子思想は「没価値と無政治性」の哲学だという。この「没価値と無政治性」こそ「ピース&ラブ」の思想である。初期ビートルズが世に与えた衝撃もこれである。世の人が大事にしている(実はツマラヌ)諸価値を嘲笑い、叩き潰したのである。次に似ていたのはボードレールの「人工楽園」という作品。これは後期のビートルズ音楽と同じ。嘘だと思ったら渡辺訳の「人工楽園」を読んでみて下さい。
このアルバムは一応ジョンのベスト版とのことですが、基本的に彼の言いたいことは「ジョンの魂」までで出尽くしているのではないでしょうか。
また彼の心の病気は完全に時代病と合致していたと思います。人格・思想・ロックという表現形態が完全一致していました。だからロック史上一番偉大な表現者なのであり、今後いくら待ってもこれ以上の人物は絶対に出ない。
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