日本の名バラード 若い世代の方に聴いて欲しいと願っています(評価: )
歌詞をこれほどしっかりとリスナーの元へ届けられるヴォーカリストも少ないでしょう。男声でありながら女性ヴォーカルの曲を歌うわけですから、難しい挑戦ではありますが、これだけ見事に歌いきれば、万人に受け入れられると思います。
先入観も思い込みも不用です。ただ虚心坦懐にしてスピーカーの前で徳永英明の歌唱と向き合えば、作曲者・作詞家そしてオリジナル曲の歌手の思いが新しい革衣を着て登場したかのように受け取れました。次から次へと移ろいゆく景色を眺めるように聴かせてもらった歌の数々。それぞれの曲がヒットした時代へ思いを馳せながら少しセピア色になっている思い出のブラッシュ・アップをさせてもらいました。素晴らしい歌唱なのは太鼓判を押させてもらいます。
「かもめはかもめ」の薄倖な女性の切なさを、男性がここまで見事に表現できるとは。中島みゆきも好きです。研ナオコもしかり。彼女らの名唱に流れる女の情念の激しさを少し押さえながら、諦観した人生の歩みをみせているのは男性ヴォーカルの特質かもしれません。
病気も含めて、人生の浮き沈みを体験した徳永英明が、40代後半という魅力ある年代のとば口に佇んでいるからこそ、その静かな表現の中に深い思いを込めているのでしょう。
懐かしの小坂明子の「あなた」に対する坂本昌之のジャジーな編曲と徳永の優しい歌唱。30数年前、彼女の弾き語りを生で聴いた者として、フラッシュ・バックのようにあの時の光景が蘇り、それを21世紀に通ずる歌へと昇華させてくれました。
プリ・プリ、松田聖子、中森明菜、そして竹内まりや。全く個性の違うオリジナルの歌唱に対しての果敢なアプローチと見事な徳永の回答。その変身ぶりと本質の描き方の見事さ。拍手です。
ラストの「for you・・・」は、大女優の一人語りのようでもあります。上手さを感じさせない巧みさもまた魅力として内在しているわけですから、売れるはずですね。
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